創立50周年記念式典

※イベントは終了しました。イベントレポートについては下記をご覧ください。
日程
2018 年 10 月 13 日 (土)
場所
京都精華大学

イベントレポート

新たな船出を宣言した創立50周年記念式典

創立50周年記念式典と祝賀会を10月13日に開催いたしました。本学を支えてくださっている多くの方々にご参加いただきました。

【第一部 式典 芸術と文化の重要性を確認し、本学の将来ビジョンを力強く宣言】

50年の歩みを振り返り
さらなる飛躍への決意を表明

記念式典の会場となった体育館は、まっさらな白い布で覆われ、新しい第一歩を踏み出す決意表明の場としてふさわしい装いとなりました。これは、初代学長である岡本清一が入学案内で学生たちに述べた言葉から着想を得たものです。

式典ではまず石田涼理事長が登壇し、参加者への謝辞に続き、本学の教育理念の原点である”自由自治“ について語りました。「京都精華大学では、すべての構成員が人格的に平等に扱われる大学共同体をめざし、自由の精神を持った学生を50年間育成してきました。自らと世界を自由にする”自由自治“の精神は、人間同士の対立や分断が根強くある現代社会においてますます求められてきています」。さらに石田理事長は、「リベラルアーツ」「表現」「グローバル」を重点事項とした新たなビジョンを策定したことを表明しました。最後に「自由自治の精神を基盤に、世界を表現によって変革する人間を育成し、人類史に貢献していきます」と、これからの未来に向けての決意を述べました。

続いて、ウスビ・サコ学長が参加者に「感謝の意」を伝えました。その後、本学のこれまでの教育について振り返った上で、本学の理念と使命、社会情勢を鑑みながら、新たなステージヘの飛躍をめざした今後の方針について語りました。「ひとつは、ダイバーシティの推進です。私たちはダイバーシティを“多様なバックグラウンドや属性を持つ人々が違いを受容し合い、対等に機会が開かれること”と定義し、推進していきます。大きな目標として、留学生比率を40%まで増やすことが挙げられます。中国、韓国や欧米からの留学生に加え、重点的にASEAN、中近東、アフリカ諸国の留学生を受け入れたいと考えています」。そのために教育内容の改善•発展、キャンパス環境の整備などを行うとともに、外国籍教職員の比率向上をめざして、教職員の国際感覚の醸成に努める考えを明らかにしました。また、「国際サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)を推進するため、本年度6月に関西SDGsプラットフォームに参画しました。大学としてできることを検討し、地域やさまざまな機関と連携し、目標達成に向かって活動していきたいと思います」と述べました。

さらに、高大連携や、昨年開設した伝統産業イノベーションセンターにおける海外研究者との共同研究活動のスタートなど、社会との連携と大学ブランディングをこれまで以上に強化、推進していくことも明言しました。加えて、国際マンガ研究センターのほか、アジア・アフリカ研究センター、まちづくりセンター、SDGs研究センターなどの設立も視野に入れており、地域・世界各地の発展に尽力していく事業計画についても表明。「産学連携、産官学連携、学学連携などを通じ、大学コンソーシアム京都の一員として、世界に開かれた京都の大学として、京都の芸術・文化の発展に寄与していきたい」と強く語りました。

ゲストからの温かなメッセージと
芸術と人文学に関する講演

ゲストの方々を代表してのメッセージでは、京都市長 門川大作氏、国立民族学博物館館長 吉田憲司氏、総合地球環境学研究所副所長 ハイン・マレー氏、アフリカMEETS関西2018フェスティバル実行委員長 センダ・ルクムエナ氏から、これまでの本学との交流を振り返りながら、今後も協力していきたいと、温かな言葉をいただきました。

引き続き、本学の海外協定校の一つであるタイ王国・チェンマイ大学の副学長 ローム・チラヌクロム氏のスピーチが行われました。本学とチェンマイ大学は30年来にわたり、双方の学生が交換留学等で行き来する親密な交流を続けています。言語学教授であり、日本の芸術や文化にも造詣が深いローム氏に、“デジタル化した世界における芸術と人文学の重要性”をテーマにお話しいただきました。

ローム氏は、本格的なデジタル時代を迎えた今日、人文学は人が人間らしく存在するために欠かせない学問であると説きます。「生活のあらゆる面においてスピードを加速させるデジタル化は、人間の本質を失わせるものです。このような社会に生きる私たちに、人生の核となるものを取り戻させ、それを見失わずにいることの大切さを思い起こさせてくれる人文学は、とても重要な学問なのです」。

続けて、芸術は日常生活における身体的・精神的ストレスの軽減に役立つだけでなく、〝STEM教育(科学、技術、工学、数学の4領域の教育)〞の発展に寄与する重要な要素であると言います。「芸術は、STEMを支える創造性と想像力を育む領域であることから、教育においてその価値が認められ、STEMに〝芸術(ART)〞を加えて〝STEAM〞と呼ばれるようになりました。芸術は、これまで欠落していた部分を補い、私たちの人生に一層の調和をもたらす学問となったのです」。こうした背景を踏まえてローム氏は、大学は芸術の価値に対する学生の意識を高めると同時に、独創性を活かした創作活動に取り組めるような働きかけを行う必要があると説きます。また、デジタル時代に対応した教育については、伝統的な技法を守りながらも、デジタルツールを活用するスキルが身につけられる授業をおこなうなど、学生が〝伝統的な芸術と現代の芸術との協働についての探求〞ができる環境を整えていくべきだと語られました。これらの教育活動の中で、「芸術の分野で同じ方向性を共有して良きパートナーであり続けてきた京都精華大学との間で、さらに多くの活動をともに実施したい」と述べられました。

卒業生と在校生が語る
京都精華大学の歴史と未来

ゲストの挨拶のあとに、京都精華大学の50年の歩みと未来を紹介する動画を上映。動画製作は、本学卒業生が中心となって設立したyucca(ゆっか)によるものです。動画では、現代美術家やマンガ家、アートディレクターなど各分野で活躍する卒業生のインタビューを交え、本学における学びの魅力や未来像について紹介しました。

式典の最後には、ノルウェーからの留学生でマンガ学部に在籍するノルリ・アランさんが登壇し、在学生を代表してスピーチを行いました。「京都精華大学に合格できたことは、私の人生で最大の出来事となりました。留学して学ぶことは大変ですが、諦めずに手塚治虫のような歴史に残るすばらしい漫画家になりたいです」と夢を語ってくれました。

こうして、それぞれの立場から本学の50周年に向けたお言葉をいただき、次の50年に向けた船出となる式典になりました。

【第二部 祝賀会 緑あふれる『精華の森』で本学のこれまでとこれからを語り合う】

心尽くしの料理と
パフォーマンスでおもてなし

第二部は、会場を『友愛館』のアゴラホールに移して祝賀会を開催しました。〝友好の緑〞をテーマに、世界の植物と京都の伝統的な祝いの樹木である北山杉を融合させて装飾された会場は、幻想的な森の中にいるような雰囲気を漂わせていました。

祝賀会のスタートは、第一期卒業生であり、京都精華大学同窓会「木野会」の山田隆会長による乾杯の挨拶から。本学が所在する〝木野〞は、「愛宕神社があり、歴史のあるすばらしい土地」と語るとともに、「開学当時から始まった、著名人を迎えての『アセンブリーアワー講演会』は、今年で500回を迎えます。私が在学当時には岡本太郎氏などのお話に、人として成長する機会を与えてもらいました。これからも続いていくことを期待します」と、本学の教育活動の一環について語られました。

祝賀会では、美味しい料理を味わいながら、あちこちで歓談の輪が広がりました。「wenton(ウェントン)」が歌と連続写真によるインスタレーション作品を披露したり、「hyslom(ヒスロム)」が本学に自生する木と身体を用いたパフォーマンスを行うなど、卒業生アーティストたちによる公演もあり、京都精華大学らしい時間を楽しんでいただきました。

最後は、「大学改革を推し進めるために、今後もご協力をお願いしたい」とのサコ学長の挨拶によって閉会。祝賀会のテーマである〝友好の緑〞にちなんで、本学を支えてくださる皆様との交流を深めながら、さらなる飛躍を着たいできる一日となりました。

お問合せ先

京都精華大学 経営企画グループ 50周年事業担当
〒606-8588
京都市左京区岩倉木野町137
TEL:075-702-5201 
kikaku@kyoto-seika.ac.jp